(「近侍殿と外出てくるね」――何ら特別感もない、本丸の主としての平素と大して変わらぬ格好、調子で言葉は紡がれた。御供も付けず勝手気ままに出歩きに行くわけではないのだと暗に告げつつ、事前に用意してもらっていた昼食用の握り飯を笑顔で受け取って、近侍たる一振りと共に本丸を出たのは先刻のこと。)主、近侍殿がお散歩に付き合ってくれると思わなかったよ。絶対渋られると思ったのに!……長義も、気分転換に外出たかったり?(想いを自覚してからというもの彼の名を呼ぶことに少しばかり照れを覚えてしまって、冗談めかして役職名で呼ぶ機会が増えたものだけれど、本丸の皆が居ない今それも可笑しな話かと少しばかりの躊躇の末に覚悟を決めて彼の名を呼ぶ。周辺の銀杏並木を背景に冬を彷彿させる色合いを持つ彼が視界に入れば、相手へと抱く淡い恋心故に自然と口元は緩み、嬉しさ滲む笑みが溢れた。)っふふ!今日は休日なのに、私に付き合ってくれてありがとう。今度は、長義のお休みについて考えないとだなあ。長義ってば、あまりに優秀な近侍殿振りでなかなかお休み取れてないし。(やれやれと言わんばかりな話振りの癖して、審神者相手だろうと正直な物言いをする彼に甘えてしまっている自分も一因だと頭では分かっているのだけれど。)
(迎えた休日、主の散歩の供ともあれば護衛という意味合いも含まれよう。常の戦装束はそのままに、「行ってくるね」と門を守る刀へと声をかけ、そのまま行先は彼女へと委ねる「お散歩」に興じる事として。)仕事が終わっているのなら、息抜きに否やを突き付けるほど狭量ではないつもりだよ。一人きりで外にやるわけにはいかないけれど。……おや、久しぶりに俺の名を呼んでくれたね。(自らに任ぜられた近侍という役割で呼ばれることもまた悪く思っているわけでもないが、彼女から呼びかけられたならば余裕を含んだ笑みがわずかに濃くなったようだった。「環境を変えてみるというのは悪くないものだからね」と、少し遅れて返答を。)休日なら多少遠出もできるだろう?目的地はもう決まっているのかな。休み……といわれても。(別にワーカーホリック気味というわけでもない。ないが、事務仕事も戦働きも性に合っているものだからつい引き受けてしまいがちで、結局彼女のサポートという形で休日を重ねることが多いか、余分に仕事を片付けるために休日というものをつぶしてしまいがちな打刀だった。)概ね、本丸の中で満足してしまっているからね。言ってしまえば、主に仕事をさせるか休ませるかする方が性に合っているし。(なんて、悪びれもせず口にする。ワーカーホリックではない、はず。)
そこは優しさとやらで触れない選択肢はなかったのかね、近侍殿。(相手の余裕がある笑みに眩しさを覚え、うっと目を瞑るは一種の戯れのようなもの。)――山姥切長義。ちゃんと良い刀なことも知ってるよ。とっても頼れる優秀な近侍殿ってことも。ってことで、そのぉ~……二週間後に現世で会議があることたった今思い出したんだけど……付いてきてくれる?(今言うタイミングではないと自覚はあったが、思い出したそのうちに伝えておくべきだろうと。罪悪感から目は泳いでいたけれど。「今度の開催場所は温泉街が近いから、帰りに寄らない?」と続けた言葉が、彼からの了承を得るための後押しになると良いのだが。)……今日は近くの野山をゆったり散策するだけのつもりだったんだけど、長義は私と二人で遠出したかった?(驚いたように少し目を見開くも、すぐに細めて笑みを携え揶揄うような口調で問い掛ける。ただの審神者とその近侍に過ぎない関係で、休日遠出を申し出ても許されたのだろうかと――そんな甘え方を女はまだ知らなかった。)…………。ごめんって。ちゃんと主、長義が居なくても出来るようになるからごめんって!(相手の言葉に居た堪れなくなり両手で顔を覆う。数秒置き、様子を窺うようにそろりと手を除け相手を覗き見ようか。)長義、私と休む練習でもしてみる?
そういう類の優しさを期待されているとは思わなくてね。(彼女のそれが戯れであると認識するからこそ、返す言葉は軽やかですらあり。彼女にかけられる言葉は当然だといわんばかりに頷いて見せ、)今言う事かな?まあ、いいさ。構わないけれど、忘れ物には気をつけるように。(ついツッコミを入れてしまったが、同行を断る選択肢というものもめったなことでは浮かばない。特に仕事に関していえば――時折お小言もはさむが二つ返事で請け負うのがこの打刀の常だった。「では皆への土産はそこで買おうか」と予定までも当然のように埋めてしまう始末。)………主が息抜きをするのならば、充実した時間である方がいいだろう?時間に幅があれば選択肢も増える。遠出は選択肢の一つだよ。…まあ、そうだね…、してもよかった。(彼女の笑みに顎先を手のひらで包んで。つらつらと連ねる言葉は言い訳じみてもいただろうか。遠出したかった、に頷くのはまるで余裕がないかのようだったから、つい表現を変えてしまったけれど。彼女が選択肢の中から何を選んだとしても、自分が選ばれるならば良しとしていた。)別に謝るようなことでもないだろうに。……休む練習、か。確かに主には必要かもしれないね。(自分に必要かどうかはさておいて、甘える練習というものも必要かと頷き、)いい案だが、何から始めようか?
(相手の返しに楽し気に破顔する。またひとつ、彼に対する好きが積もった。)長義のそういうところ、(好きだよ、と無意識に続けそうになった言葉は寸でのところで飲み込んで、誤魔化すように何も聞かないでくれと目は逸らされた。)近侍殿。前日、当日に忘れ物確認リマインドください。何卒、何卒……!っふふ!なんだか次の会議が楽しみになってきた。なんでも来年の春に制度改正を控えてるらしくて――(自然と仕事の話に移ろってしまうはご愛嬌。休日のひとときへと戻る切っ掛けは、さて。彼との会話は何だって苦にならないのは、きっと彼が優秀な近侍であることだけが理由ではない筈。)……そっか。遠出しても、よかったんだ。(噛み締めるように言葉にすれば少しだけ後悔の念に駆られるが、過ぎたことを気にしても仕方ないと前を見る。気付けば、銀杏並木は過ぎ紅葉した楓が広がっていた。)次に行き先を決めるときは、事前に意見を聞いてみることにするよ。皆が皆、長義と同じ考えってわけでもないだろうし……。でも今日は、私の散策に付き合ってね。(新たな気付きを得たと、嬉し気に笑い掛けよう。)近侍殿にも必要ですけど!?うーん、そうだなあ。……あ。(正しく、何かを思いついたの発語である。歩みを止めて相手を見上げたなら、意味深に笑って徐に手を差し出した。)フッフッフ。――お手をどうぞ、近侍殿!
……急に眼をそらして、どうしたのかな。(ごく普通の会話の流れだったように思うのだが、言葉を飲み込み目をそらすなどされてはいくらか瞳に疑問も乗るようで。とはいえ言葉尻は穏やかで、答えをせかすような意図もない。)構わないよ、主に忘れ物をされて困るのは俺も同じなのだし…。おや、途端に元気になるね。(仕事の話となれば耳を傾け、疑問点を口にするのは当然の流れだった。格好つけがちな男であるので、仕事を主題にしていた方が格好はつく。ただ、彼女の噛みしめるような言葉を前にすれば静かに頷くことになるだろう。その双眸は人の子を穏やかに見守る形をしていた。)そうだね、俺たちも一枚岩というわけでもない。けれど、そう心配はいらないかな。(何せ、この娘の四年間を見てきた刀たちだ。皆、彼女に対する思い入れは深い。その望みに否を突き付ける光景というのはあまり浮かばなかった。「勿論、そのつもりだよ」と微笑み応じる自らがその筆頭故か。)俺は別に、現状で苦労もしていないのだけれど…。まあ、君に心配をさせてしまうのは本意ではないかな。(と、とぼけた顔は実際のところ、彼女がどんな案を出してくるかと期待していた面も否めない。)…ふふっ、喜んで、主殿?(ぱちり、と意外そうに瞬いた後彼女に差し出された手に自らのそれを委ねる。折角のお誘いだ。休日なのだから、多少羽目を外したっていいだろう。)
……その、長義のそういうところ……ええっと……。(穏やかな追求ほど困るものもないと目は泳ぎ、「っそう!好ましく、思ってるよ」と今思いついたと言わんばかりの物言いで誤魔化そうか。呼び名ひとつ、単語ひとつで動揺して。彼の表情ひとつ、言葉ひとつで酷く心を乱されるなんて、恋とは厄介だと小さく溜息が零れた。所詮審神者と刀剣男士、主と近侍だと自分に言い聞かせていれば火照った頬もそのうち治まろうか。)……良いの?(提案した身でありながら相手から了承を得られたことに驚いて、少しだけ目を見開く。けれど好機を逃すまいと手袋越しにそっとその手を握り、力を込めよう。ただの人の子の握力など知れたものだが、振り解かれない限り此方から放すつもりはなかった。)っふふ、つかまえた。まずはお互いに休んでるか確認……見張るところからかなって。こうしていれば、長義は執務も任務もできないだろうから。私とのおしゃべりには付き合ってもらうことになっちゃうけど。それに、ハグにはリラックス効果があるっていうし、こうして手だけでも触れ合ってたら多少はリラックスできるかなって。(得意げに言葉を紡いでいたが、次第に冷静さを取り戻せば自分がしてしまったことに頭を抱えたくなったのは言うまでもない。)……思ったんだけ、ど……これだめだ。どきどきする。リラックス効果なくない?
うん?……ふふっ、ありがとう。俺も主の…俺の休みの事すら気にするような優しさを、好ましく思っているよ。(それは優秀な審神者への監査官としての評定とはまた違う。好ましい主へと向ける刀剣男士としての信頼の表れだ。眼を泳がせ溜息をつく彼女に対し、打刀の笑みは余裕を含んだもの。それは他者に良く評価されることを当然とする自負の表れであったかもしれない。)…どうしてだめだと思うのかな。(浮かべた苦笑にはほんのりと呆れの色が入り混じる。振りほどかれまいとする力の強さに感じて、やんわりとその手を握り返す。「まあ、手はふさがるけれど、危険も感じないしね」と言葉を足してみせるのは、自分の思うだめだとされる理由。)今日はそもそも休日で外に出ているのだから、執務も任務もできないだろうに。手を繋いでなくともここで片手間に仕事をこなすほどに無礼ではないつもりだよ。………なるほど?(それはどちらかといえば本丸で発揮されるべき効力ではないか、と前半については口に出しつつ、彼女とつないだ手に視線を下ろす。触れ合うことでの心境の変化、というのは――確かに、悪くはないかもしれない。)おや、では、やめるかい?(軽く首をかしげて、そんな問いかけを。)俺としては、悪くない心地だけれど。確かに、リラックスとはまた違うかな。(くす、と、浮かべた笑みはどこか挑戦的であったかも。)
普通はだめっていうところだと思うんだけどな、山姥切長義殿。(自ら言い出した癖して思わずジト目になる。)勘違いされて長義をめぐる修羅場に発展、なんて主見たくない……。人の子だって刀剣男士を、その、好きになることだってあるんだから相手は選ぶように。(自分と異なり、相手は何も意識していないことを再認識させられて。対して自分はと言えば、握り返された手に小さく身体を震わせてしまい、誤魔化すように主としての言葉を紡ぐしかなかった。正しく自分のこと故、居た堪れなさから視線は交わらない。)練習が一度切りなわけないでしょ?(つまり今後――本丸での休日においても仕掛けるつもりだったのだと。とは言えこれでは自分の気が休まらないから、別の案を模索するため目を閉じた次の瞬間。聞こえた相手の言葉に、其方へと顔を向ける。)……や、めないですけど?は、ははーん?近侍殿が、片手が塞がるだけで主を守り切れる自信がないっていうなら、とても残念だけど手を放すしかないかー。私は長義と手を繋げて、うれしかったのになー。(挑戦的な笑みを売り言葉と受け取って、笑みを浮かべ買い言葉を並べよう。)でも、ただ手を繋ぐだけなのにこんなにどきどきするものなんだって知らなかったよ。長義との練習で知れて良かった、かも。
そうかい?俺としては…君の手を預かるという栄誉を頂けるのなら、拒否する理由はないかな。…なぜ修羅場の想定が俺をめぐってのものなのか、その逆は想定しないのか、聞きたいことはあるけどね。君は俺が応じた理由を、もっとよく考えるといい。(彼女のジト目を涼しい顔で受け止めて見せて、逸らされた視線にこちらも眼前に視線を固定しての言葉の紡ぎ方なのだから、馴染みの猫殺しくんなどが見たならば深い深いため息をよこしてきそうだった。)…成程ね?では、俺が君を休ませようという時には君のまねをすればいいという事かな?(彼女がこちらにしかけるというのならば意趣返しの備えもあるのだとばかりの冗談めいた口振りで。それがどこまで現実になるかは怪しいが。)何を言ってるのやら。その程度のハンデで俺が君を守れなくなるはずがないだろう?……ふぅん、そう。確かに聞いたよ。(自身にあふれる言葉は常のもの。彼女が口にした言葉を忘れてやるつもりはない。愉快気に笑みをこぼして見せたなら。)…それはよかった、かな。…それで、本番はいつ、誰とのご予定かな?(心が狭い、――時折、そんな風に呆れられる。休むための練習と知っていてなおどきどきするという言葉にいつかの本番を想起してしまったものだから。)
私が審神者だから、かな。(物の心を励起する技のため物を想うだけの物語を知る必要があることから、正しく把握しているつもり。肩を竦め「私は敵さんから大人気かもしれないけど」と、自身の狙われやすさもまた然り。自分が想い顕現したわけではない刀剣男士の意見は貴重で、本丸へと配属された彼を近侍に任命し今に至るわけだが、初期刀と警護の刀とともに説明に回ったのが既に懐かしく思えた。しかし、故に此度彼が応じてくれた理由にはならない気がして、「主だから?」と言い直し彼の方を向いて反応を窺おう。)うわ出た、長義の意地悪!……っふふ、だーめ。長義に構ってもらいたくて、お仕事頑張る私が見える。(冗談めいた口振りで返すが、先の二振りの顔が過ぎって「陸奥守と平野から怒られたくないから駄目だよ」と真剣な表情で念押しを。)うん、知ってる。それでこそ私の近侍殿。……ところでその言い回し、なんか嫌なんだけど何を聞いたって!?(抵抗がてら繋がるその手を何度か引き、笑みを零す相手とは対称的に慌てる姿があった筈。そんな子供染みたある種の甘え方が出来るのも、彼に対してだけだ。)え?いつかは分からないけど、長義との予定……休みの話だよね?えっ、駄目だった?……近侍辞めたい、とか。(歩みを止め不安げに見上げたなら、相手はどんな表情をしているだろう。)
………、(彼女の返答に視線を戻し、じ、としばし無言でその瞳を見つめた。)不可。その答えでは優はあげられないかな。…教えて欲しい?(まるで監査官であったころに戻ったかのような端的な評価を彼女に送り、やれやれとばかりに肩をすくめて。審神者であり、主である。それは事実。けれど、いくら主相手であろうともかつては政府の監査官であった男だ。拒むべきならば、当然に拒める。)心外だな、俺ほど優しい刀はいないだろうに。…休ませようというのに何を張り切っているのかな、君は。(嘯くような言葉は余裕を持った笑顔とともに。押された念にはつい、呆れ交じりの吐息を零しては。仕事に励むことよりも、仕事を取り上げる事の方が時に難しいのだ、と、この本丸に来て初めて知ったのかもしれない。)当然だろう。…主が、俺と手を繋げて嬉しかった、と。確かにこの耳で聞いたとも。(なので、当然繋いだ手を放すつもりはなかった。浮かべて見せる笑みは存外に子供っぽかった気がするから、コホンと咳払いをして気を取り直す。)……そうだよね、どうかしてる。他の誰もに手を繋いで休みを促すのかと思うと、…その相手にもどきどきというものをするんだと思うと、…少しね。(主の前では、常に自分を制してきたつもりだった。こんな些細な言葉で胸にわいた気持ちは、おそらく嫉妬というもので。苦みを帯びた顔で笑うと、)近侍は辞めない。(勿論、彼女が望む限りは。)
(見つめ返した綺麗な青に惹かれて一歩近づくが、相手からの評定に我に返り取り繕う。)その聞き方はずるいのではなくて?“元”監査官殿。長義から不可って言われたの悔しいから、意地でも優を取りたい……奪いたいまである。(拗ねるように軽く口を尖らせ、「審神者と触れ合うことで力が高まるのか試したかったから」と回答を続ける。握ったその手を自身の頬まで運び、拒まれなければ擦り寄って「どう?何か感じる?」と悪戯が成功した子供のような顔で笑い掛けた筈。)言ったな?本丸に帰ったら、長義より優しいと思う刀は手を挙げてって聞こうかな。絶対、途中から数えるの面倒くさくなるんだから!多数決だって勝てる気がする。……なんか私が悪いみたいになってるけど、長義が私のやる気を出させちゃうからなんですけど?(発破を掛けられたあのときだって。思い出し笑いを零したなら、「長義の不器用なところも、優しいところも、……すき、だよ。」と今度こそはとその二文字を紡いで、はにかんで笑った。)――っ、うん。(相手の表情に、一瞬呼吸を忘れる。)長義、あのね?私は、その……誰かに甘えるのが少し苦手で。けど、長義にならって甘えちゃってるところがあるんだ。だから、誰にでもじゃないよ。私だって、長義に近侍を辞めてほしくない。ずっと私の傍に居てほしいって思ってる、よ。(何処まで言葉にしても彼に失望されずに済むだろうかと、繋がる手に力を込めた。)
流石は俺の主、その意気だよ。……違う、南海太郎朝尊じゃないんだから。(彼女の様子に笑みは愉快気な色すら帯びて。続けられた会頭には渋い顔で否定をした。一方で彼女の問いかけには一瞬だけ目を丸くして、その笑みに柔く目を細める。空いている指先で彼女の頬を軽くつついて。「それは秘密」と意味ありげに笑って見せて。)何の嫌がらせかな?…絶対に面白がって手を挙げるような奴がいるから、何も参考にはならないと思うけど。うん、俺はこうして優しくしてあげているのに無理を通す主が悪いと思うよ?(だなんて、やはり冗談交じりの言葉の伝え方。それが優しさかどうかは大いに疑問が残るけれど、彼女の言葉にゆるんだ口元は確かに喜びの表れで。「不器用なつもりはないけど、俺も好きだよ」と穏やかな声を返して。)……うん。まあ、俺になら甘えてもいいと判断されているのは…嬉しいし、誰にでもでないのなら何よりだ。…君は知ってるかな?俺にとって君は特別なんだよ、手を繋ぐことで胸が弾むくらいにはね。(昔馴染みの刀と手を繋ぐだなんて発想の内にもない。この掌を預けたのは、彼女が彼女だからこそ。)……仕事も、君を休ませる能力も、他の刀に劣るつもりはない。だからこれからも、安心して俺を傍に置くといいよ。(微笑みには確かな自負を込めて、彼女とつなぐ手を離すつもりは毛頭なく、自ら近侍の座を降りるつもりもまたない。)
長義がなんか肥前と同じような顔してる。(知的好奇心が旺盛という面では女もまた件の一口と近しいものがあるものだから、近々試してみるかと思案顔。悪戯後に見てしまった相手の表情に胸が高鳴り、「けち」と上目遣いで不満げに見遣るは照れ隠しに近かった。「今度朝尊に聞いてみる」と顔を逸らすも、些か幼稚だったかもしれないとの後悔はやり終えた後の話。)客観的反応が必要かと思って?……多少無理したくらいが自分の限界超えられそうな気がしない?聚楽第のときも力増えた気がするし。主、もう少し行ける気がする。(真面目な顔して頷くは、相手からの同意を得られるものと信じていた。漸く彼に伝えられた二文字に自己満足していれば、穏やかな声色で彼から発せられた二文字に驚き、次第に顔が火照って朱が走る。相手にそんな気などないだろうに、過剰に反応してしまった自分が恥ずかしいと雑念を払おうとしたけれど。審神者であり主という立場にも関わらず彼へと甘えてしまっている自分を許容し、今後も受け止めてくれるという彼の言葉を聞いて、嬉しいのに何故だか心が苦しくなって泣きたくなった。)っ長義、あの……!その、人の子だって、刀剣男士を好きになるんだよ。――私だって。私だって、好きになるんだから。勘違いしそうになることは、あまり言わないでほしい……かな。(これ以上好きにならせないでほしいと苦笑を零した。)
とても不本意という顔だよ、覚えられてよかったね。……まったく。何を考えているのかな。(彼女の思案顔にあまりいい予感はしなかったもので、やれやれとばかりにため息を。こちらを見やる瞳にくすくすと笑って、「それは嫌だな…」とシンプルな感想が口をついて出た。)刀剣男士だって素直なばかりではないのだし、正確性には欠けるのではないかな。無理はここぞという時に頼むよ、本来なら無理をせずともこなすことのできる地力をつける事の方が大切なんだから。…いける気がする、という時に成功体験を積むことも大切だから、反対もしないけどね。(とはいえ、結果が得られた後の休息は必要だろう。彼女が聚楽第を突破した時のことを知る自分がその努力や限界への挑戦を否定できるわけでもないが、無理ばかりでは限界が来る。彼女の反応にゆるく浮かべて見せる笑みは、柔らかくも自負に満ちたもの。)そう?……では。俺は紫水殿を恋い慕っているよ。…これなら勘違いもなく通じるかな?(でなければ嫉妬もしないし、手を繋ぐことも拒みかねないし、自分が甘えを受け止めたいとも思わない。彼女の呈する苦言もどこ吹く風で、君も俺が好きだろうといわんばかりの瞳はある種の高慢さが見え隠れしていたかも。けれど彼女が勘違いだと苦く思うことを心苦しく思ったのもまた事実で、流石にいざ口にする段には頬には赤みが灯っていた。)
ふふーん、今回正確性は求めてないから大丈夫です。長義をからかいたいのが目的だから!(空いた手でピースサインを作り、良い笑顔を浮かべて言い放つ。「長義のいろんな顔見たい」と――自分の前では余裕のある表情ばかりだから、もっと他の表情も見たいのだと伝われば良いが。きっとそれがよりよい本丸運営に繋がるとも、確信している。)っふふ!私には長義が居るから、大丈夫だよ。本当に駄目そうなら止めてくれるでしょ?それに今回、休憩の仕方ひとつ伝授したし。(それは信頼であり、不器用な甘え方の形であった。彼とのように軽いやりとりができる気の置けない存在を自身が主たる本丸で作るのは些か困難で、そんな彼との関係が壊れるのも、彼から失望されるのも女は酷く恐れていた。故に、少なくとも審神者業を終えるそのときまでこの想いは表に出すべきではないと思い込んでいたが、相手が発した言葉ひとつで簡単に瞳が揺れる。)……長義にも、そんな感情あったんだ……じゃ、なくって!…………、っそ、っかあ。(つい正直に零してしまった心中は流石に場違いだと制するが、相手に見えた赤が冗談でも嘘でもないと悟らせる。審神者でも主でもない、紡がれたその名に顔に熱が集まるのを感じ、照れ隠しに彼と繋がる手にまた力を込めた。)……私も、長義のこと好きだよ。その、恋人同士ならリラックス方法としてハグを存分に試せると思うんだけど、どうですか?
君ね。………仕方ないだろう?好きな人の前では格好をつけたいんだ。(呆れを含んだ声を落としかけて、続いた彼女の言葉に少しの間、時が止まる。やがて気恥しさを誤魔化すように視線をあらぬ方向へと投げては。それが彼女の望みであれど、格好はつけたい。男心は繊細だった。)例え主が望まずとも、すべきではないと思えば言うよ。当然だろう。…ふふ、そうだね。君の手綱を握れそうだ。(等という軽口もまた含んだ余裕の表れだ。出会いは監査官として。審神者としての彼女を評価し、臣下として仕えたにもかかわらず、彼女に見るのは審神者として以上に個人としての側面が大きかったのは自分の都合だろうか。この想いを告げたこともまた。)主?人の打ち明け話に水を差さないでくれるかな?(まさか感情の有無から驚かせるとは思わなかった。半分照れ隠しに詰るような言葉を発して、力を込められた手へと視線を下ろし、また彼女の瞳を見つめる。)うん。……おや。俺の恋人は可愛らしいことを言ってくれるね。(彼女の言葉にくすくすと面白がるようにして笑うと、そのまま彼女を包むように繋いだ手の反対側を伸ばす。二人の体格差は、やはり彼女を上手に包み込んでしまえるようだ。胸元に彼女の頭を引き寄せるような形になるせいで、忙しない鼓動が伝わりかねない点が難点といえば難点だけれど。)……これ、リラックスできてるかな?(こちらは、平気そうなのは顔だけだ。)
すッッ……!?(彼の“好きな人”が自分を指し示すのだと自覚すれば、言葉とともに息をのみ、気恥ずかしさから目を逸らす。今度は動揺してしまわぬよう覚悟を決めてそろりと視線を戻したなら、相手の姿を見て頬を緩め表情を崩した。)私も好きな人に良く見られたいから気持ちはわかるけど。かわいいって思われてみたい、とか……ンン゛ッ!……今のは聞かなかったことにして……。(沽券に関わる余計なことまで口走ってしまい、咳払いを。)好きな人からかわいいところとかも見せてもらえると、紫水的には、とてもどきどきします。なんて。(横髪を空いた指先で弄りながら、言葉を紡ぐ。恥ずかしいことを言っている自覚はあったが、伝えられるときに伝えるべきは伝えたい。)ごめんって……でも、よかった。長義が、私じゃない誰かを好きにならないでいてくれて。っへへ、後悔するところだった。(目の前の青を真っ直ぐ見つめ、照れくさそうに笑い掛けた。「好きだよ」と再び紡いだ言葉は幸福感に満ちた穏やかなものだ。恋人同士となったのかの確認も兼ねた提案が思いの外早々に受け入れられたことに驚きつつ、近付いた相手との距離に心は一際煩くなり、現実逃避と言わんばかりに抱き着くように空いた手を相手の背へと回そう。)……できてない。心臓壊れそう。(問いかけには、端的に正直な回答を。)でも、長義が私の手の届くところにいるって思えて、なんだか安心する。今日初めて手を繋いだときもしばらくはどきどきしたけど今は放したくないって思ってるし、そのうち慣れると思うんだ。そしたら、リラックスできるのかも。だから、慣れるまで……慣れてからもさせてほしい、な。(関係が変わっても甘え方の下手さは変わらないが、せめて自分の想いが彼に届くと良い。顔は真っ赤に染まり、それは周辺の紅葉の如く。)
(ともすれば気持ちを言葉にしていなかった時よりも彼女の反応は顕著なものであったかもしれない。ささやかな満足感を胸に浮かべる笑みは楽し気なもので、)そうだろう?…ふぅん、ならこれからは都度、言っていこうかな。俺が君を愛らしく思う瞬間、というものは、きっと君が思うよりも多いよ。(聞かなかったことにしてあげる、だなんて優しさは現在品切れ中。恋人となったのなら甘く言葉を向けることを遠慮する必要も、きっとないだろう。)……俺に可愛げを求めるかな、普通。まあ…紫水殿なら見つけてくれるだろう?(自らの言動を振り返ってもかわいげなどというものは見あたらず、結局は彼女の見る目にすべてを委ねてしまおう。自分では見つけられない側面を彼女が見出してくれるというのなら、心安らかであることが伝わっているかのようで悪くないとも思うから。)俺は幸い一途な方でね。君を不安にさせることはないように努めて行こう。…よそ見をするつもりはないから、覚悟するように。(彼女の髪にそっと指先を差し込むようにして、美しい色をした紫の瞳と見つめ合う。彼女を後悔させはしない、だなんて誰に言うまでもなく当然のこと。「俺は愛しているよ」などと言葉を重ね続けて。触れ合う事にも躊躇いはない。彼女に多くを与えられるのならばそれに越したこともなく、幸福ですらあるのだから。)だろうね。(彼女の正直な回答には笑いながら頷いて、その背を軽く撫ぜてみる。)慣れてくれるのは嬉しいけれど、…君がリラックスする姿も俺にときめいてしまう姿も見たいものだから、どうしようかな。まぁ、おいおい考えて行こう。時間はこれからもたくさんあるからね。(つい顔をもたげる欲望は果たしてうまく飼いならせるのだろうか。楽しげに笑って、未来への期待に形を変えた。)